2026年、私たちが直面している「教育の空洞化」
2026年。ピラティスがブームを超え、ライフスタイルとして定着した一方で、指導現場ではある「悲鳴」が上がっています。 それは、国際資格を手にしながらも、自分自身の身体の不調さえ解決できず、目の前のお客様の「なぜ?」に答えられないインストラクターたちの苦悩です。
教科書の言葉を暗記し、決められた振り付けを教える。しかし、お客様の身体は教科書通りではありません。手術経験、長年の慢性痛、そして「自分には無理だ」という心のブロック。これらは、単なる筋力トレーニングでは解決できない領域です。
今回お話を伺ったのは、マットとリフォーマーの資格を持ちながらも、自身の術後後遺症と腰痛に悩み、一度はインストラクターの道を諦めかけた Yukaさん。彼女が2025年12月、Jacquin 先生による ICCB(キャデラック・チェア・バーレル)コースの10日間で経験した「身体の奇跡」と「心の変容」。それは、絶望の淵にいた一人の女性が、プロとしての誇りを取り戻すまでの再生の記録です。
最後の賭け——「暗記ピラティス」の限界と絶望
Yukaさん、本日はよろしくお願いします。Yukaさんはすでに資格をお持ちでしたが、なぜ改めてICCB コースを受講しようと決めたのでしょうか?
Yuka:正直に言うと、当時の私はどん底にいました。ストットピラティスのマットとリフォーマーの試験に落ちてしまい、再受験の期限が迫っていたんです。でも、もう一度受けても受かる気がしなくて、本気で「もうインストラクターになるのはやめようか」と悩んでいました。
1年前に養成コースに通いましたが、勉強の仕方が全く分かっていなかったんです。解剖学は筋肉や骨の名前をただ暗記する作業。ピラティスのエクササイズは教科書に書かれた「振り付け」を覚える作業。私の中で、解剖学とピラティスが完全に切り離されていました。

「暗記」だけの学習に、どのような限界を感じていましたか?
Yuka:教科書のターゲットマッスルや6原則を言葉としては覚えているけれど、それが自分の身体の中でどう起きているのか、どうお客様に伝えればいいのかが全く繋がっていませんでした。自己練習をしていても「これで合っているの?」という不安が消えず、ただ動いているだけ。
「試験に落ちるのも当然だ」と納得する一方で、どうすればこの壁を越えられるのかが分からず、真っ暗闇の中にいるようでした。そんな時に Jacquin 先生の ICCB コースがあることを知り、「これで分からなかったら、本当にこの仕事から手を引こう」と、2025年最後の賭けのような気持ちで申し込みました。
身体の枷(かせ)——「お腹を切ったら、腹筋はつかない」という呪縛
Yukaさんは過去に2度の開腹手術を経験されています。それが身体の不調にどう影響していたのでしょうか?
Yuka:私は子宮筋腫で2回お腹を切っています。最終的には子宮全摘となり、下腹部には約10cmの大きな傷跡がありました。手術後、お医者様に「お腹を切っても腹筋はつきますか?」と聞いたんです。その時、先生から「ちょっと難しいかな……」と言われました。
その言葉が、ずっと私の中で「呪い」のように残っていました。「お腹を切った私には、もう腹筋はつかないんだ。ピラティスをしても、完璧にはなれないんだ」って。
その思い込みは、実際の指導や練習にどう現れましたか?
Yuka:色々なスタジオに行きましたが、どこへ行っても「下腹部に力が入っていない」「余計なところに力が入っている」と指摘され続けました。自分でも感覚が全くないんです。さらに、手術の傷跡が癒着して硬くなっているので、背骨を反らす「伸展」の動きをすると、傷口がツッパって痛みや違和感がありました。
レッスンが終わるたびに、「しょうがないよね、だってお腹を切っているんだから。私にはできないんだ」と自分に言い聞かせ、できない自分を正当化して、半ば諦めていました。
同時に、腰痛も抱えていたのですよね?
Yuka:はい。L4・L5の椎間板が潰れている状態で、年中腰が痛いのが当たり前でした。ピラティスのマシンを使うと一時的に楽になるのですが、自分で練習を始めると、必ず腰痛がセットで付いてくる。そんな状態が続いていました。
常識の逆転——原因は「筋力不足」ではなかった
Jacquin 先生の ICCB コースでの10日間。その「洗脳」が解けたきっかけは何だったのでしょうか?
Yuka:コースが始まってすぐ、衝撃的な気づきがありました。「腹筋に力が入らないから私はダメだ」と信じ込んでいましたが、Jacquin 先生の指導を受けて、実は問題は腹筋の筋力不足だけではなかったと知ったんです。
足で踏む力、身体の他の部分との連動。自分の足りない部分が腹筋以外のところにあると気づかされた時、愕然としましたが、同時にものすごく安心しました。「私のせい(手術のせい)だけじゃなかったんだ」って。
苦手だった「伸展」や、慢性的な腰痛はどうなりましたか?
Yuka:これが一番の驚きでした! 背骨を反らすエクササイズは、痛みが怖くてずっと避けてきたんです。でも、コース中に正しい身体の使い方、力の逃がし方を学んでやってみたら……全く腰が痛くなかったんです!
「あ、痛くない。私、できるんだ」と。
今までは「痛いから無理」と脳が身構えて、身体をガチガチに固めてしまっていたんですね。腰痛があるからできないのではなく、身体の使い方を知らなかっただけ。その事実が、私に大きな自信を与えてくれました。
身体の奇跡——8年間の「しこり」が溶け、色までも変わった
手術痕の硬さやツッパリ感が改善されたというお話、詳しく教えてください。
Yuka:1日目に先生に手術痕を見てもらった時、先生がさらっと「(傷跡は)柔らかくなるよ!」と言ったんです。術後8年も硬いままだったので、「そんな簡単に?」と信じられませんでした。
でも、本当だったんです。コースが進むにつれて、みるみるうちに傷跡が柔らかくなり、ツッパリ感が消えていきました。あんなに嫌だったうつ伏せの違和感もなくなり、今は自分で自分の傷跡を触るのが癖になるほど柔らかくなりました。
傷の色まで変わったというのは本当ですか?
Yuka:はい! 傷の色を薄くする薬を塗るのをやめてしまうほど諦めていたのに、色が明らかに薄くなったんです。血流が改善されたのか、癒着が剥がれたからなのか、毎日目にする場所なだけに、この変化は私の心にとって奇跡のような出来事でした。
心の変容——「難しくしていたのは、自分だった」
身体の変化は、インストラクターとしての指導にどう反映されましたか?
Yuka:以前は「インストラクターだから完璧に動けなければ」「知識を詰め込まなければ」と焦って、お客様の前でも難しい専門用語をたくさん並べていました。でも、heso で学んだのは、究極の「シンプルさ」でした。
自分が初めてピラティスをした時、分からない言葉が多くて困ったはずなのに、自分自身がお客様に同じことをしていた。そのことに気づいてショックを受けました。

現在の指導はどう変わりましたか?
Yuka:コースから帰った後、とにかくシンプルに、Jacquin 先生の真似をして指導してみました。そうしたら、お客様から「今日のレッスン、すごく分かりやすい!」と喜んでいただけたんです。自分が実際に身体で納得できているからこそ、言葉に自信が乗るようになりました。
同じ悩みを持つ方へ——一歩踏み出す勇気が、人生を変える
手術経験や痛みがあり、「自分には無理だ」と諦めかけている方へメッセージをお願いします。
Yuka:医師や周りの言葉で「自分はできないんだ」と暗示にかかっているだけかもしれません。私は8年間そうでした。でも、正しい知識と愛のある指導者のもとで動けば、身体は必ず応えてくれます。
「自分には無理かも」と思っている方こそ、一歩踏み出してほしいです。案外、動ける自分にびっくりするはずですよ! そして私は、自分と同じように傷や痛みで悩んでいる方が、「この人なら安心して身体を任せられる」と思ってもらえる指導者になります。それが、今の私の新しい夢です。
編集後記:Jacquin より
2025年、私は日本全国の様々なスタジオで養成コースを担当してきましたが、初日に必ず受講生の皆様に「身体の状況」を確認します。
私にとって、怪我や手術の経験、疾患があることは「このエクササイズをさせない理由」ではありません。「その状況がある中で、いかにして安全に、そして効果的にそのエクササイズができるようになるか」を考えることこそが、養成コースの真髄だと考えています。
今までのコースは、自分の身体が変化しなかった人は一人もいませんでした。
ユカさんのように、「お医者さんにこれ以上は無理だと言われた」「他のスタジオで筋力が弱いと指摘され続けて自信を失った」というストーリーを、私はこれまで何度も聞いてきました。でも、諦めないでください。
養成コースは確かにプロを育てる場ですが、それ以上に「自分自身の身体の仕組みを知り、痛みや不調から解放される場」でもあります。マットの養成だけでも、人生は変わります。
ユカさんの物語は、ピラティスが単なる運動ではなく、過去のトラウマや思い込みから解放される「人生の再出発」であることを教えてくれました。
2026年、お客様が求めるのは、教科書を丸暗記した先生ではありません。ユカさんのように、痛みを知り、それを乗り越えた経験を持つ「本物の血の通った指導者」です。
あなたも heso academy で、自分自身の可能性を再発見してみませんか?

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