本当に“手術”で治っているのか?それとも「治ると信じること」で身体は変わるのか
こんにちは。西宮/東京港区にあるマシンピラティス専門スタジオ「heso pilates」でインストラクターをしているJacquinです。
私は以前、台湾でも有名なACL(前十字靭帯)専門病院で約3年間働いていました。毎日、術前の患者さん、術後の患者さん、そして同じ場所を2回・3回と手術されている方も見てきました。もちろん、手術によって人生が変わった方もたくさんいます。歩けなかった人が歩けるようになったり、スポーツに復帰できたり、本当に素晴らしい場面も数え切れないほど見てきました。
ですが同時に、私の中にはずっと残っている疑問があります。
「本当に、手術だけで全部が治っているのだろうか?」
「画像の異常=痛みの原因なのだろうか?」
「身体を“修理”すれば、人は完全に回復するのだろうか?」
実は近年、医療・リハビリ・疼痛科学・運動療法の世界では、この考え方を大きく揺るがす研究が注目されています。それが、「偽手術(Sham Surgery)」研究です。この研究は、単なる面白い医学実験ではありません。むしろ、私たちが長年信じてきた、
- 「痛み=壊れている」
- 「壊れている場所を修理すれば治る」
- 「MRIに異常がある=それが原因」
という“常識”そのものを見直させる研究です。そして、この研究から見えてきたのは、人が良くなる理由は、必ずしも「切ったから」「修理したから」ではないという事実でした。
偽手術(Sham Surgery)とは何か?
「偽手術」と聞くと、少し怖く感じるかもしれません。ですが、医学研究の世界では非常に重要な研究方法です。簡単に言うと、「患者さんは本物の手術を受けたと思っているけれど、実際には重要な処置をしていない」という研究です。例えば、
- 麻酔をする→手術室へ入る→皮膚を切開する→術後の処置を行う
など、“手術らしい流れ”はすべて行います。しかし実際には、半月板を切除しない、骨を削らない、修復をしない

など、本来の「メインの手術」は行いません。つまり、「手術を受けた」という体験だけを作るのです。そして、
- 本当に手術をしたグループ
- 偽手術だけのグループ
を比較することで、人が改善したのは「手術そのもの」なのか?それとも「治療された」という体験なのか?を調べていきます。
最も有名な研究|半月板手術の衝撃
この分野で特に有名なのが、「変性半月板損傷(degenerative meniscus tear)」に対する研究です。40代以降になると、膝が痛くなり、MRIを撮ると「半月板損傷」が見つかる方は非常に多いです。昔は、「傷ついた半月板が痛みの原因だから、切除すれば良くなる」と考えられていました。そこで研究者たちは、患者さんを2グループに分けました。
Aグループ:本当に半月板を切除する手術
Bグループ:偽手術
Bグループの患者さんも、麻酔をする→手術室へ入る→皮膚を切開する→術後の処置を行うまで全て受けています。つまり、自分では「本物の手術をした」と思っています。しかし実際には、半月板には何もしていません。
結果は非常に衝撃的だった
結果として、
- 痛み
- 日常生活機能
- 動きやすさ
- 満足度
などにおいて、本物の手術と偽手術に、大きな差が見られなかったのです。つまり、「半月板を切除したから治った」とは言い切れなかったのです。これは医療界に大きな衝撃を与えました。
MRIの異常=痛みの原因ではない
この研究が重要なのは、「画像異常が本当に痛みの原因なのか?」という疑問を強く投げかけた点です。実際、その後の研究では、
- 痛みが全くない人
- 普通にスポーツしている人
- 日常生活に問題がない人
でも、
- 半月板損傷
- 椎間板変性
- 軟骨摩耗
- 腱板断裂
などがMRIで見つかることが分かってきました。つまり、「画像に異常がある」ことと、「痛みがある」ことは必ずしも一致しないのです。これは腰痛でも非常によくあります。例えば、
「ヘルニアがあります」
「背骨が変形しています」
と言われても、全く痛みがない人もいます。逆に、画像では問題が少ないのに、強い痛みを感じている方もいます。
なぜ偽手術でも改善するのか?
ここで疑問になります。「何も修理していないのに、なぜ良くなるのか?」その答えは、現代疼痛科学(Pain Science)にあります。私たちの痛みは、単純に「壊れている量」で決まっているわけではありません。痛みには、
- 不安
- 恐怖
- ストレス
- 過去の経験
- 睡眠不足
- 感情
- 安全感
- 注意
などが大きく関わっています。つまり、脳と神経系が「危険だ」と判断すると、人は痛みを感じるのです。逆に、
- 「もう修理された」
- 「治療を受けた」
- 「これで良くなる」
- 「もう大丈夫」
と感じることで、脳の警戒レベルが下がり、痛みが減少することがあります。
手術は「最強のプラセボ」でもある
手術には非常に強い影響力があります。なぜなら、
- 白衣
- 病院
- 手術室
- 麻酔
- 医師の権威
- 「特別な治療を受けた」という感覚
など、強力な“儀式性”があるからです。そのため、手術は医学の中でも特に強いプラセボ効果を持つと言われています。ただし、ここで重要なのは、プラセボ=嘘ではないということです。実際には、
- 神経系
- ホルモン
- 自律神経
- 脳の痛みネットワーク
に、本当に変化が起きています。つまり、「信じること」も身体に影響を与えるのです。
もちろん、手術が必要なケースもある
ここで誤解してほしくないのは、「だから手術は全部不要」という話ではありません。実際には、
- 骨折
- 急性外傷
- 神経圧迫
- 関節ロッキング
- 感染
- 腫瘍
などでは、手術が非常に重要です。偽手術研究が変えたのは、「画像異常がある=すぐ手術」という考え方です。
なぜ今、ピラティスや運動療法が重要視されているのか
これらの研究によって、
- リハビリ
- Pilates
- 呼吸
- 運動療法
- 漸進的負荷
- 身体教育
の重要性が再評価されています。なぜなら、多くの人に必要なのは、「壊れた部分を切ること」ではなく、
- 身体への信頼を取り戻すこと
- 恐怖を減らすこと
- 動ける感覚を取り戻すこと
- 神経系に“安全”を学習させること
だからです。
術前の状態が良い人ほど、術後の回復も早い
これは、私が臨床でも何度も感じてきたことです。実際、HESO Pilatesのお客様でも、
- 手術予定だったけど回避できた方
- 手術後にピラティスを始めた方
- 術前から運動していた方
をたくさん見てきました。そして感じるのは、術前の状態が良い人ほど、術後の回復が圧倒的に早いということです。逆に、
- 怖くて動かない
- 痛い側をずっと避ける
- 「もう壊れている」と思い込む
状態になると、
- 筋肉量低下
- 可動域低下
- 神経系の過敏化
- 動作恐怖
がどんどん進みます。実際、筋肉は1週間使わないだけでも低下が始まります。そして脳も、「この足は危険だ」と学習してしまいます。だから私は、よくお客様にこう伝えています。
「手術してもしなくても、筋肉と動きの練習は必要です」手術で、
- 骨
- 靭帯
- 半月板
は修復できるかもしれません。ですが、「動き」は別です。動きを変えるには、
- 筋肉
- 呼吸
- コントロール
- 感覚入力
- 練習
が必要です。
最後に|人間の身体は“機械”ではない
偽手術研究が教えてくれた最も大きなこと。それは、人間の身体は、単なる機械ではないということです。人は、
- 構造
- 神経系
- 感情
- 記憶
- 環境
- 信念
すべてが影響し合いながら生きています。だから本当に人を回復させるものは、「何を切ったか」だけではなく、「この身体は、もう安全かもしれない」と脳が感じられるようになることなのかもしれません。HESO Pilatesでは、単なる筋トレではなく、
- 呼吸
- 安全感
- 身体感覚
- コントロール
- “動ける感覚”
を大切にしています。「痛いから動かない」ではなく、「安全に動きながら、身体への信頼を取り戻していく」その積み重ねが、長期的な回復につながっていくと、私は本気で思っています。
忙しい人でも始めやすいHESOの仕組み
ピラティス初心者は、いつでも大歓迎です。
- 時間がある方 → 週1〜2回がおすすめ
- 忙しい方 → 月2回からでもOK
HESOは月謝制ではなく完全予約制なので、
ご自身のスケジュールに合わせて自由に通えます。
お仕事・家事・育児の合間でも、無理なく続けられます。



