そして、なぜ本当に意味のある養成には「時間」が必要なのか
こんにちは。西宮/東京港区にあるマシンピラティス専門スタジオ「heso pilates」でインストラクターをしているJacquinです。
この2~3年、日本では大きなピラティスブームが起きています。
その影響もあり、私は関東エリア(横浜、埼玉)や中国地方(山口)など、出張で養成コースやワークショップに関わる機会が一気に増えました。
現場で多くの受講生・インストラクターと話す中で、必ず聞かれる質問があります。
- 「なぜSTOTT PILATESを選んだんですか?」
- 「他のブランドじゃなくて、どうしてSTOTTなんですか?」
今日は、この質問に真正面から答えつつ、
- ピラティス養成の“本当の違い”
- 流派ごとの特徴
- なぜ養成コースには「時間」が必要なのか
を、これから養成を考えている人にも、
すでに資格を取ったけれどモヤモヤしている人にも届くように、正直に書きます。
私は最初、ピラティスを「一度も教わったことがなかった」
少し意外かもしれませんが、私はSTOTTの養成に入るまで、ピラティスのレッスンを受けたことがありませんでした。
『ピラティス』名前だけは知っていました。
でも「流派がある」ことすら知りませんでした。
STOTTの養成に入った理由も、とてもシンプルです。
- 友達が申し込んでいたから
- 「私も行きたい」と、ついて行っただけ
- 養成開催の何週間前に飛び込みました
今思うと、かなり無防備なスタートです。
なぜSTOTT PILATES®を選んだの?という友達の答え
養成が始まってから、私はその友達に聞きました。
「なんでSTOTT PILATES®にしたの?」
返ってきた答えは、とても冷静で印象的でした。
- 「いろいろ調べたけど、STOTTの公式HPは養成の内容が一番詳しく書いてあった」
- 「カリキュラムも一番しっかりしていると感じた」
今振り返ると、この“事前に調べられる情報量の差”こそ、すでに流派の思想の違いを表していたと思います。

他流派の養成を受けた人たちが、口を揃えて言うこと
私は他流派の養成やレッスンを受けたことがありません。
ですが、日本でインストラクター養成を担当する中で、他流派を経験してからSTOTT PILATES®に受けにきた人と多く出会いました。彼ら・彼女たちが、ほぼ同じ言葉を口にします。
- 「養成は終わったけど、ずっとモヤモヤしていた」
- 「動きは分かる。でも“なぜそれをやるのか”が分からない」
- 「正しい・間違っているの判断基準がない」
- 「痛みがある人に、どう対応していいか分からない」
- 「WSやレッスンを受け続けても、点と点が繋がらなかった」
そして、こう続きます。
- 「色々な流派の先生のレッスンを受けたけど、STOTT PILATES®の先生の“身体の変化”が一番大きかった」
- 「STOTT PILATES®の先生は“調整”してくれた感覚があった」
これは偶然ではありません。
私自身は、養成後に「困らなかった」
正直に言うと、私は養成コース終了後に、指導で大きく困ることがありませんでした。特別なことはしていません。
- 養成中に教わったことを
- テキストと動画を使って
- ただ繰り返しただけ
実は私は、プライベートレッスンを受けたことがありません。
マット養成後は理学療法士としての本業に戻り、リフォーマー養成が終わってから約2週間後には、もう指導を始めていました。
理由は明確です。
- エクササイズのバリエーションが豊富
- プログラミングの考え方が明確
- 「何を見て・何を判断するか」が分かっていた
だから、ネタ切れもしなかったし、不安も少なかった。
実は私の周りには、他の流派で色々な資格を持っている人が何人もいました。ですが、やはりモヤモヤする部分が多く、100万円以上かけてやり直した人もいます。
そして私自身も、そういう人を何年も見てきましたが、他の人より時間がかかることが多いです。
動作を学ぶために、元々勉強した情報をもう一度整理し、自分の身体に染み込ませるのが、とても大変です。途中で迷うこともあると思います。
多分、私の身体もそうですが、今までレッスンを受けてこなかったからこそ、言われたことをそのまま吸収し、ひたすら繰り返し練習し、一生懸命に再現するだけでした。
ここからは、私がこの数年で確信した
「STOTT PILATES®が選ばれ続ける理由」を整理します。
① テキストの情報量が圧倒的に多く、具体的
STOTT PILATES®のテキストは、単なる「エクササイズ集」ではありません。
- 開始姿勢
- 動作の順序
- ターゲットマッスル
- 呼吸
- 注意点
- よくあるエラー
- 修正方法

すべてが写真付きで、論理的に整理されています。
これは「暗記するため」ではなく、現場で“考えるため”のテキストです。エクササイズテキスト以外に、もう一冊サポートマテリアルがあります。
- 姿勢分析の理由
- よくある姿勢
- 姿勢に対するエクササイズ例
- プログラミングの仕方
- 初心者向けプログラミング
- 実際のお客様のエクササイズ例
- グループエクササイズの指導方法

などが、すべて詳しく記載されています。実際、私は養成が終わった後も、このサポートマテリアルを何度も読み返しています。
今でも「本当によくできているテキスト」だと思います。自分が躓いた時も、テキストやサポートマテリアルを読み直すと、必ず解決のヒントがあります。
② 指導動画が「動き」だけで終わらない
STOTT PILATES®の養成には、公式の指導動画が付いています。
- デモンストレーション
- キューイング
- 流れ
- 指導時の視点

今はアプリで見られるため、通勤中・仕事の合間・スタジオでも復習可能です。「一度受けたら終わり」ではなく、何度でも学び直せる設計になっています。
人間の記憶は曖昧です。だから私は、自分の指導がズレないよう、今でも動画を見直しています。
昔はDVDでしたが、私はすべてパソコンに入れて見ていました。
今はMerrithew Connectがあり、携帯やタブレットでいつでも見られます。考えてみると、本当に便利な時代になりました。
③ 解剖学・姿勢分析が“前提”として組み込まれている
STOTT PILATES®では、
- 養成前の解剖学講座
- 養成中の解剖学復習
- 姿勢分析・動作分析
が必ず含まれます。
一方で、解剖学にほとんど触れない養成も存在します。もちろん、気軽に始めることはできます。
でも、こう考えてみてください。体の仕組みを知らずに、「体に良いこと」をしているのか、「体に悪いこと」をしているのか、判断できますか?
手術の理論を知らずに、見様見真似で手術をする医師がいたら、正直、怖くないですか?
実際、近年はピラティススタジオでの怪我・事故が増加しており、国民生活センター「事故情報データバンク」にも記載されています。
④ 養成期間が長い理由は「安全に教えるため」
STOTT PILATES®の養成は、正直、短くありません。
- マット初中級:8日間(40時間)
- リフォーマー初中級:10日間(50時間)
- キャデラック、チェア、バレル初中級:10日間(50時間)
ですが、その時間の中身は、
- デモ・実践
- 姿勢分析
- ケース別エクササイズ選択
- プログラミング
- グループ指導理論
- 指導実践
- 小グループ練習・ディスカッション
「現場で教える」ための要素が、すべて含まれています。
YouTubeで動きを真似ることはできます。でも、指導は一人では身につきません。経験者からのフィードバックが必要です。

⑤ 養成後のサポートが“本番”
STOTT PILATES®は、養成が終わったら「さようなら」ではありません。
- 試験までの練習
- 見学
- 自主練習
- スタジオでのサポート
多くの開催スタジオが、
- スペースレンタル提供
- レッスン見学
- 勉強会
- 質問対応
を行っています。
さらに、STOTT PILATES®本部によるWSも充実しています。
- 高齢者
- 産前産後
- ゴルファー
- 試験対策
- バリエーション
- 小道具活用
資格取得後の成長ルートが明確です。
先ほども書きましたが、私はプライベートレッスンを受けたことがありません。自分のアップデートをしたい時は、MerrithewのWSに参加したり、Merrithewの他ブランド(ZEN•GA、ファシャ、トータルバーなど)を学びます。一見、違うアプローチに見えますが、どれも最終的にピラティス指導につながっています。特に印象深いのは、ZEN•GAを学んだ後、私のキューイングと身体の観察能力が大きく上がったことです。
正直、もしZEN•GAを受けていなかったら、今もマットエクササイズは苦手なままだったと思います。
ピラティス流派比較|「何が違うのか」を整理する
ここで、よく比較される流派を整理します。
| マットピラティス | |
| STOTT PILATES | 解剖学・バイオメカニクス重視 姿勢分析・修正が明確 医療・リハビリとの親和性が高い 国際的に通用する資格 |
| BASI | フロー・構成美を重視 クラシカル要素と現代要素の融合 |
| Polestar | リハビリ・臨床寄り 理学療法背景が強い |
| PHI | エクササイズ理解重視 比較的コンパクトな養成 |
| その他 (国内独自流派) | 日本人向けに最適化 短期間・低コストが多い |
どれが良い・悪いではありません。「何を目指すか」で選ぶべきです。
STOTT / BASI / Polestar / PHI は何を目指して生まれたのか
ここまで読んでくださった方は、すでに「流派によって“身につく力”が違う」ことを感覚的に理解していると思います。
ここではもう一歩踏み込み、それぞれの流派が「なぜ生まれ」「何を大切にしているのか」を整理します。これは、「どれが正解か」を決めるためではありません。自分が“どんな指導者になりたいか”を考えるための材料です。
STOTT PILATES® の由来と思想
クラシカルを“現代の身体”に適応させるために生まれた流派
STOTT PILATES®とは何か
STOTT PILATES®(ストット・ピラティス)は、ジョセフ・ピラティスが考案したクラシカル・ピラティスをベースに、現代の解剖学・運動学・バイオメカニクスの知見を融合させた「コンテンポラリー・ピラティス」です。
「クラシカルを否定する」のではなく、現代人の身体・生活様式・怪我のリスクに合わせて再構築するという思想から生まれています。
STOTT PILATES®名前の由来
「STOTT」は、創設者 Moira Merrithew(旧姓:Stott) の名前に由来します。Moiraは元バレエダンサーで、自身の怪我とリハビリをきっかけにピラティスと出会いました。
彼女はクラシカル・ピラティスを深く学ぶ一方で、
- 現代人の姿勢・生活に合わない部分
- 解剖学的にリスクが高い固定概念
- 個人差を考慮しない一律の指導
に疑問を持つようになります。
STOTT PILATES®誕生の背景
1980年代後半、Moiraと夫の Lindsay Merrithew はカナダ・トロントでスタジオを開設。
そこで彼女は、
- 理学療法士
- スポーツ医学の専門家
- 運動学研究者
と協力しながら、「安全で、再現性があり、誰にでも応用できるピラティス」を構築していきました。

その結果として整理されたのが、STOTT PILATES の 5原則です。
- 呼吸(Breathing)
- 骨盤の配置(Pelvic Placement)
- 胸郭の配置(Rib Cage Placement)
- 肩甲骨の安定と動き(Scapular Stability & Mobility)
- 頭と頸部の配置(Head & Cervical Placement)
これらは「見た目」ではなく「身体の中で何が起きているか」を基準にするための原則です。
STOTT PILATES®の本質
STOTT PILATES®が育てようとしているのは、エクササイズができる人ではなく
「判断できる指導者」です。
だからこそ、
- 解剖学
- 姿勢分析
- 修正(モディフィケーション)
- プログラミング
に多くの時間を割いています。
BASI Pilates の由来と思想
― ピラティスを「身体芸術」として体系化した流派
BASIとは何か
BASI Pilates は、Body Arts and Science International の略です。
名前の通り、
- Body Arts(身体芸術)
- Science(科学)
この2つの融合を理念としています。

創設者 Rael Isacowitz について
創設者は Rael Isacowitz(ラエル・イサコウィッツ)。元バレエダンサーであり、運動生理学の修士号を持つ教育者です。彼の有名な言葉があります。
Honor the past, respect the present, and look to the future.
(過去を敬い、現在を尊重し、未来を見据える)
この言葉が、BASIのすべてを表しています。
BASI Pilatesの特徴
BASIは、
- クラシカル・ピラティスへの敬意
- フロー(流れ)の美しさ
- 全身の統合的な動き
を非常に大切にします。また、Block System(ブロックシステム)という独自の構成法を用い、
- レッスン全体の流れ
- 強度の配分
- エクササイズの配置
を論理的に組み立てられるようにしています。
BASIは特に、
- 「動きを美しくつなげたい」
- 「フローのある指導をしたい」
と考える人に向いています。
Polestar Pilates の由来と思想
― リハビリと運動再学習を軸にしたピラティス
Polestarの名前の意味
Polestar(ポールスター)とは、北極星=航海の指針となる星のこと。
創設者 Brent Anderson は、「身体という旅の中で、指針となる存在でありたい」という想いから、この名前を付けました。

創設者 Brent Anderson について
- 理学療法士(PT)
- リハビリテーション科学 Ph.D.
- 臨床経験が非常に豊富
Polestarは、医療・リハビリテーション分野との結びつきが非常に強い流派です。
Polestarの特徴
Polestarは、
- Evidence-Based Practice(科学的根拠)
- 神経科学
- 運動制御
- 心理学
などを積極的に取り入れ、「なぜその動きが起きるのか」「なぜその人は動けないのか」を深く掘り下げます。
そのため、
- 痛みを抱える人
- 疾患のある人
- リハビリ段階の人
へのアプローチに強みがあります。一方で、「治療寄り」「臨床寄り」な色が強いため、フィットネス・一般向け指導とは思想が異なる部分もあります。
PHI Pilates の由来と思想
― 姿勢・修正・再教育に特化した医療寄りの流派
PHIの意味
PHI(Φ)は、ギリシャ文字で「黄金比(1:1.618)」を表します。
PHI Pilatesでは、
- 調和
- バランス
- 構造的な美しさ
を身体の機能と結びつけています。

創設者 Dr. Christine Romani-Ruby
創設者は、
- 理学療法士(PT)
- ピラティス指導者
である Christine Romani-Ruby 博士。
PHIは、
- Posture(姿勢)
- Health(健康)
- Integrity(統合性)
という意味も重ねています。
PHIの特徴
PHI Pilatesは、
- 姿勢評価
- 動作分析
- 修正・再教育
を非常に重視します。フローよりも、
- 「なぜ動けないのか」
- 「どこが代償しているのか」
を見極めることを優先します。
そのため、
- 医療従事者
- リハビリ背景のある指導者
に選ばれやすい流派です。だから「養成に時間が必要」になる。ここまで読むと分かると思いますが、どの流派も 「短期間で身につく思想」ではありません。
特にSTOTT PILATES®は、
- 判断
- 観察
- 修正
- プログラミング
を軸にしているため、時間をかけて「思考の型」を作る必要があるのです。
流派の違いは、
- エクササイズ数
- 難易度
ではなく
「何を基準に身体を見るか」
「何をゴールに指導するか」
の違いです。もしあなたが今、
- 養成を選ぶ前で迷っている
- 養成を終えたけど言語化できない
- 何かが足りないと感じている
なら、それは「思想」を求め始めているサインです。
国際資格という選択肢
私は台湾・香港でSTOTT PILATES®を学び、日本に移住してからも問題なく働いてきました。
- STOTT PILATES®本部からのオファー
- 多国籍クライアント対応
- 海外での活動可能性
将来、海外を視野に入れるなら、国際資格は大きな武器になります。
STOTT PILATES®の養成コースはどこの国でも受講でき、データはトロント本部で管理されています。試験も、別の地域・国で受けることができます。
私が一番感動したのは、日本に来たばかりの頃、STOTT PILATES®のスタジオを探して見学した時です。日本語はまだ下手でしたが、動きやインストラクターの指示は、すべて伝わりました。日本の生活にはまだ慣れていませんでしたが、一つの「連結」があり、とても親しみを感じて「すごいな」と思いました。
最後に:養成に「時間」が必要な本当の理由
ピラティス養成は、
資格を取るためのイベントではありません。
- 人の体を預かる
- 痛みや不安に向き合う
- 長期的な変化を導く
そのためには、時間をかけて「考え方」を育てる必要があります。早く取れる資格が悪いわけではありません。
でも、
- 「教えられるようになる」
- 「安心して任せてもらえる」
ここを目指すなら、時間は必要不可欠です。もし今、あなたが、
- 養成を迷っている
- 資格はあるけど不安がある
- 何かが足りないと感じている
なら、それはあなたが真剣だからです。
この文章が、あなたの次の一歩の判断材料になれば嬉しいです。



