スタジオも、養成スクールも ―― 「先生の質」と「環境」で選んでほしい

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安さや特典の前に、思い出してほしいことがあります

こんにちは。西宮/東京港区にあるマシンピラティス専門スタジオ「heso pilates」でインストラクターをしているJacquinです。

一般のお客様から、よくこう聞かれます。

「ピラティススタジオって、どうやって選べばいいですか?」
「新しい習いごとを始めたいのですが、まったくの初心者で……どう選んだらいいでしょう?」

そして、インストラクターを目指す方からは、こんな声も。

「同じ流派なら、どこで学んでもあまり変わらないですよね?」
「養成スクールの選択を、すごく悩んでいます」

今日は、この両方の方に向けて——スタジオ選びも、習いごと選びも、養成スクール選びも、共通する大切なことをお話しします。少し遠回りに、私自身の思い出から始めさせてください。

まず、思い出してみてください

学生時代、あなたにも「好きな先生」と「そうでもない先生」がいませんでしたか?

好きな先生の授業が始まる前、あなたはどんな気持ちでしたか? 少し、わくわくしていませんでしたか。そして、その先生から出される宿題やテストは、不思議と前向きに取り組めた——そんな覚えはありませんか?

逆に、苦手な先生の時間は、時計ばかり気にして、早く終わらないかと思っていた。同じ教室、同じ科目でも、教える人によって、心の向きがまるで変わる。 ちょっと、思い出してみてください。この記事で私がお伝えしたいことは、実はこの一点に尽きるのです。

私の話 ― 2人の音楽の先生

正直に言うと、私は学生時代、体育以外はだいたい好きでした。たぶん体育が苦手すぎて、それに比べれば他の授業はずっと楽だったんです。なかでも好きだったのが、美術と音楽でした。

でも——大好きな音楽の授業でも、「今日はつまらないな」と感じる日があったのです。そして、その理由は、先生にありました。印象に残っている2人の先生の話をさせてください。

一人目の先生は、いつもピアノを弾いて、みんなで一緒に歌う。楽典も、テキストをそのまま教える。うまくいかない子がいると、あるいは原因がわからないと、怒っていました。好きな音楽の時間でも、その先生の日は、ときどき気持ちが沈みました。「間違えたら怒られる」と思うと、声も小さくなっていったのを覚えています。

もう一人の先生は、いつも違うことをしていました。チームをつくって、一つのテーマを研究し、順番に発表する。ミュージカルやオペラの映像を流しながら、その内容や構成を分析して説明してくれる。説明の仕方も堅苦しくなくて、まるで漫才のように、ユーモアを挟みながら教えてくれました。気づけば、私たちは自分から前のめりになって聴いていました。

だから私は、今でもミュージカルやオペラを観るとき、ときどきその先生に感謝しています。2年前、初めてロンドンに行ったときも、先生が見せてくれた『Wicked』を観に行きました。すごく、感動しました。何十年も経って、遠い国でまで思い出す——先生が残してくれたものは、それほど大きかったのです。

——同じ「音楽」という科目。それでも、先生によって、その後の人生に残るものまで変わりました。教わる「内容」が同じでも、受け取る「もの」は、まったく違ったのです。

バレエで、もっとはっきり感じたこと

6年前から、私はバレエを習い始めました。おとなになってからの初心者です。そこでも、いろんな先生のレッスンを受けました。

すごくわかりやすい先生。毎回、なぜか自信をなくしてしまう先生。そして、特定の子だけをすごく怒る先生も。

不思議なもので、先生が違うと、自分の動きが一瞬で変わることがあります。同じ私の身体なのに、ある先生のひとことで、すっと軸が通る。自分でもわかるくらい変わって、うれしくて、それを一緒に喜んでくれる先生もいました。その「一緒に喜んでくれる」瞬間が、次も頑張ろうという力になりました。

そして正直に言うと——私がいちばん変われなかった時期は、あの「ときどき怒る先生」のときでした。 萎縮して、身体が固くなって、いつもの動きすらできなくなる。教わる側になって、はじめて痛いほどわかりました。

これは、気のせいではありません ―― 学習と「指導者」の研究

「先生によって上達が変わる」——これは、私の感覚だけの話ではありません。運動学習の研究でも、はっきり示されています。

運動学習の分野に、OPTIMAL理論(Wulf & Lewthwaite, 2016)という考え方があります。ここでは、動きの上達を促す要因として、次の3つが挙げられています。

  • 自律性の支援(学ぶ人に選択や主体性を持たせる関わり)
  • 前向きな期待を高めるフィードバック(「よくなっている」と伝えること)
  • 注意の向け方の工夫(どこに意識を向けさせるか)

そして複数の実験で、自律性を支え、前向きなフィードバックを与えられたグループは、そうでないグループより、動きの習得が良かったことが示されています。ある研究では、練習量が同じでも、こうした関わりを受けたグループのほうが、後日のテストで明らかに成績が良かったと報告されています。教育心理学の研究でも同じで、教師の自律性支援と前向きなフィードバックが、学ぶ人の内発的な意欲を高め、学習成果を伸ばすことが確認されています。

つまり——

上達のスピードは、その人の「才能」だけで決まるのではありません。指導者が、どれだけ支えてくれるか。それが、大きく左右するのです。

難しい動きの中で、どうやって自信を持たせるか。「できた」という経験を、何度も味わわせてあげられるか。それこそが、指導者の仕事だと私は思っています。

学びたいと思っている人を、叱って傷つけても、正直、人は変わりません。むしろ、身体の機能には感情も深く関わっています。 不安や萎縮は、動きそのものを固くしてしまう。緊張した身体では、本来の力は出ません。だからこそ、安心して挑戦できる関わりが、上達には欠かせないのです。「怖さ」で人を動かす指導は、一見きびしくて熱心に見えて、実は遠回りなのです。

もう一つ大切なもの ―― 「一緒に学ぶ環境」

上達を左右するのは、指導者だけではありません。一緒に学ぶ人たちと、助け合える環境があるかも、大きく関わります。

同じ目標を持つ仲間がいて、お互いの動きを見て、励まし合える。誰かが直される場面から、自分も学べる。そういう場は、一人で頑張るより、ずっと遠くまで連れて行ってくれます。ですが、グループレッスンと養成スクールでは、この「仲間との学び合い」が、卒業後まで続く財産になります。孤独になりがちなこの仕事で、同じ道を歩む仲間の存在は、何ものにも代えがたいものです。

仲間だけでなく、「少し先を行く人」がいるか

そしてもう一歩踏み込むと、仲間だけでなく、「先輩」や「メンター」と呼べる人がいるかが、とても重要です。

自分より少し先を歩いている先輩がいると、道が見えます。「この壁は、こう越えればいいのか」「あの人も同じところで悩んで、乗り越えたんだ」——そう思えるだけで、不安はぐっと軽くなります。同じ目線の仲間には言いにくい素朴な疑問も、先輩になら聞ける、ということもあります。

そして、メンターの存在は、もっと長い時間を支えてくれます。技術だけでなく、迷ったときの考え方、続けていくうえでの心構え、キャリアの選び方——教科書には載っていないことを、その人の背中から学べる。「困ったとき、この人に相談できる」という安心感は、学びを続ける大きな支えになります。

だからスクールやスタジオを見るときは、こう考えてみてください。ここには、一緒に励まし合える仲間がいそうか。少し先を行く先輩の姿が見えるか。そして、長く頼れるメンターがいるか。この「人のつながり」の厚みは、価格表には決して載っていません。でも、あなたの学びを、いちばん遠くまで運んでくれるものです。

見学・体験で、どう見極める?

とはいえ、「先生の質」も「環境」も、外からは見えにくいものです。だからこそ、申し込む前に、自分の目と心で確かめることをおすすめします。体験レッスンや見学で、こんな点を感じ取ってみてください。

  • 先生は、あなたの「できた」を一緒に喜んでくれるか。ミスを責めるより、良くなった点を見つけてくれるか
  • 質問しやすい空気があるか。「こんなこと聞いていいのかな」と思わせない雰囲気か
  • 他の生徒さん・受講生の表情。楽しそうか、安心して取り組んでいるか
  • 先輩やスタッフの様子。困っている人に、自然に手が差し伸べられているか

理屈で選ぶより、「ここなら、通うのが楽しみになりそう」という感覚を大切にしてください。その直感は、たいてい正しいものです。

だから、こう選んでほしい

スタジオを選ぶとき。養成スクールを選ぶとき。新しい習いごとを始めるとき。

もちろん、価格は大事です。特典やサービスが手厚いのも、うれしいことです。安さや特典を、すべて否定するつもりはありません。でも、それ「だけ」で選ばないでほしいのです。

その前に、思い出してください。あの、好きだった先生の授業の前の、わくわくした気持ちを。そして、そうでない先生の時間に、心が縮こまっていたことを。

だから、選ぶときには、ぜひこの2つも一緒に見てください。

  • 先生(指導者)の質 ―― 安心して挑戦させてくれるか。「できた」を積ませてくれるか。あなたの変化を、一緒に喜んでくれるか
  • 環境 ―― 前向きに学べる空気があるか。仲間や先輩と、助け合える場になっているか

安さや特典は、入口の魅力です。でも、あなたが本当に受け取るのは、そこで過ごす時間の質であり、変わっていく自分自身です。それを決めるのは、先生と、環境なのです。

一般の方へ

まったくの初心者でも、心配いりません。むしろ大切なのは、「この先生となら、安心して身体を任せられそう」「この場所なら、通うのが楽しみになりそう」——体験のときに、その感覚を確かめることです。上達は、才能ではなく、あなたを支えてくれる場所に出会えるかで決まります。だから、最初の一歩は「うまくできるか」ではなく、「安心できる場所を選べるか」なのです。

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インストラクターを目指す方へ

「同じ流派なら変わらない」——そんなことは、ありません。同じ内容を学ぶとしても、誰から、どんな環境で学ぶかで、あなたが受け取るものは大きく変わります。フィードバックの手厚さ、先輩やメンターの存在、仲間との学び合い——これらは、あなたが現場に立ったとき、静かに、でも確実にあなたを支えます。悩んでいるなら、価格や割引の比較の前に、「ここでなら、安心して深く学べそうか」を見てください。その直感は、たいてい正しいです。

さらに詳しくはこちらの記事:養成スクールの選び方(安さでなく得られるもの)

heso では、指導する側もされる側も、「安心して挑戦できること」を何より大切にしています。あなたの変化を、一緒に喜べる場所でありたいと思っています。仲間がいて、少し先を行く先輩がいて、頼れる存在がいる——そんな環境を、これからも育てていきたいと思っています。

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