肩こりと四十肩・五十肩 ── その違いと、共通する根っこの原因

妊娠・出産をきっかけに、肩こりがひどくなりました
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「肩が重い」と「肩が上がらない」は、実はつながっています

こんにちは。西宮/東京港区にあるマシンピラティス専門スタジオ「heso pilates」でインストラクターをしているJacquinです。レッスン中、こんなお声をよくいただきます。

「デスクワークで、いつも肩が重くてつらいです」
「術後から、肩まわりが硬くなった気がします」
「妊娠・出産をきっかけに、肩こりがひどくなりました」
「腕を上げると、途中で引っかかるように痛みます」
「マッサージに行っても、数日でまた肩が重くなります」

「肩こり」と「四十肩・五十肩(肩関節の可動域制限)」は、まったく別の悩みのように思われがちです。年齢もきっかけも違うことが多く、「肩こりがひどくなると四十肩になる」というわけでもありません。それでも、理学療法士として多くの肩をみてきた中で感じるのは、この二つには共通する根っこの原因があるということです。今日は、その違いとつながりを、身体のしくみから見ていきます。

「肩こり」と「四十肩・五十肩」、何が違う?

まず、それぞれの特徴を整理してみましょう。

  • 肩こりは、僧帽筋や肩甲挙筋など、肩甲骨まわりの筋肉が慢性的に緊張し、張り・重だるさとして感じられる状態です。関節そのものの動き自体は制限されていないことが多く、姿勢や筋肉の使い方の偏り、長時間同じ姿勢を続けることなどが背景にあります。マッサージやストレッチで一時的に楽になっても、根本の使い方が変わらない限り、数日でまた同じ場所が硬くなってしまうのが特徴です。
  • 四十肩・五十肩は、肩関節(肩甲上腕関節)そのものの可動域が制限され、腕を上げる・後ろに回すといった動作が難しくなる状態です。関節包の炎症や癒着が関わることが多く、痛みで動かせない急性期、徐々に動きが硬くなっていく拘縮期、少しずつ回復していく回復期という経過をたどることが知られています。年齢的には40代・50代に多く見られますが、術後や怪我による長期間の安静がきっかけで、より若い年代でも似た状態が起こることがあります。
肩こりと四十肩・五十肩に共通する肩甲骨の痛み

一見まったく別の状態ですが、共通しているのは「肩甲骨と腕の連動(肩甲上腕リズム)がうまく働いていない」という点です。

肩甲骨と腕の連動 ── 肩甲上腕リズムとは

腕を上げるとき、実は腕(上腕骨)だけが動いているわけではありません。腕が上がるのに合わせて、肩甲骨も一緒に上方回旋し、両者がおおよそ2対1の比率で協調して動くことで、スムーズに腕を高く上げることができます。これを「肩甲上腕リズム」と呼びます。

この連動がうまく働いているとき、肩関節にかかる負担は肩甲骨と分散され、周囲の筋肉も過剰に緊張することなく動作を支えられます。逆に、肩甲骨がタイミングよく動かないと、腕を上げる動作のほとんどを肩関節だけで担うことになり、特定の筋肉に負担が集中してしまいます。

デスクワークで肩がこる方の場合

長時間のデスクワークでは、腕を前に出したまま、肩をすくめた姿勢が続きやすくなります。この姿勢が習慣化すると、肩甲骨を安定させる筋肉(僧帽筋下部や前鋸筋など)がうまく働かなくなり、代わりに肩をすくめる筋肉(僧帽筋上部や肩甲挙筋)ばかりが酷使される状態になります。

shoulder pain, mobile user

すると、肩甲骨が本来のタイミングで動かなくなり、肩関節への負担が増え、周囲の筋肉は常に緊張状態に置かれます。これが、慢性的な肩こりの一つの背景です。マッサージで一時的にほぐしても、デスクワーク中の姿勢や肩甲骨の使い方が変わらなければ、同じパターンが繰り返されてしまいます。

術後・怪我後にリハビリ中の方の場合

術後・怪我後や、痛みをかばう期間が長く続いた方も、同じことが起こりやすくなります。痛みを避けるために肩甲骨をあまり動かさない使い方が習慣化すると、肩甲上腕リズムが崩れたまま固定されてしまいます。

特に、痛みのある期間が長引くほど、脳と身体は「この動きは危険だ」というパターンを学習しやすくなります。すると、痛みが落ち着いた後も、無意識に肩甲骨を動かさない使い方を続けてしまい、可動域そのものが少しずつ狭くなっていく ── これが、四十肩・五十肩のような可動域制限につながっていく一つの道筋です。

産前産後で姿勢が変わった方の場合

産前産後の方の場合は、お腹まわりの変化に伴って身体の重心が変わり、それを補うように上半身のバランスも変化します。授乳や抱っこの姿勢が続くことで、肩が内側に巻き込む「巻き肩」の姿勢になりやすくなることも、よく見られる変化の一つです。

この姿勢では、肩甲骨が外側に開いたまま固定されやすく、正しい位置で安定しにくくなります。これは、肩こりと可動域制限、どちらの引き金にもなり得るポイントです。産後は骨盤まわりの変化に注目が集まりがちですが、肩まわりの変化にも、同じように目を向けてあげることが大切です。

妊娠・出産をきっかけに、肩こりがひどくなりました

なぜ「かばう」ことが、状態を長引かせるのか

肩に痛みや違和感があると、私たちは無意識にその部位をかばい、動かさないようにします。これは自然な防御反応ですが、長く続くと肩甲骨まわりの筋肉がさらに使われなくなり、肩甲上腕リズムがますます崩れていきます。

その結果、「動かさない→肩甲骨が固まる→余計に動かしにくくなる→さらに動かさなくなる」という悪循環が生まれます。肩こりも四十肩・五十肩も、根っこにあるのはこの「動きの偏り・かばい方の癖」であることが少なくありません。デスクワーク、術後・怪我後、産前産後 ── きっかけは違っても、行き着く先のパターンはよく似ているのです。

ピラティスでできること ── 肩甲骨の動きと安定を取り戻す

ここで大切になるのが、肩甲骨を正しいタイミングで、正しい方向に動かす練習です。

STOTT PILATES®では、肩甲帯の動きと安定と、肩甲上腕リズムの再教育をとても重視します。レッスンでは、次のような視点で身体を見ていきます。

  • 肩甲骨の位置を確認する:まずニュートラルな姿勢で、肩がすくんでいないか、左右差がないかを確認します。デスクワークの方は特に、左右どちらかの肩が上がっていないかをチェックします。
  • 肩甲骨だけを動かす練習:腕を大きく動かす前に、肩をすくめる・下げる・寄せる・広げるといった、肩甲骨単体の動きを丁寧に練習し、感覚を取り戻します。この「肩甲骨だけを分離して動かす」感覚は、多くの方が長年使えていなかった動きです。
  • 小さな可動域から始める:痛みや制限がある方には、無理のない範囲で少しずつ可動域を広げる動きを選び、「動いても大丈夫」という経験を積み重ねます。術後・怪我後の方には、特にこのステップを丁寧に進めます。
  • 呼吸と合わせて力を抜く:呼吸に合わせて肩まわりの余計な力を手放す練習は、肩こりのある方にとっても、可動域制限のある方にとっても効果的です。
  • 体幹の安定と組み合わせる:肩甲骨は体幹(特に胸郭や背骨)の上に乗っているため、体幹が不安定だと肩甲骨も安定しません。産前産後の方には、体幹のサポートを取り戻す視点も合わせて練習に取り入れます。

マシンや道具を使うことで、腕の重さを支えながら安全に肩甲骨の動きを練習できるのも、ピラティスの利点です。デスクワークによる肩こりの方も、術後・産後で肩まわりが変化した方も、それぞれの状態に合わせて、無理のない一歩から始めることができます。

日常でできる、肩をゆるめる習慣

レッスンの合間、日常生活の中でも意識したい習慣をいくつかご紹介します。

  • こまめな肩甲骨リセット:1時間に一度、肩をすくめてストンと落とす、肩甲骨を寄せて開くといった小さな動きを取り入れましょう。デスクワークの合間の数十秒で十分です。
  • 画面・キーボードの位置を見直す:画面が低すぎたり、キーボードが遠すぎたりすると、無意識に肩や首を前に出す姿勢になりがちです。腕が自然に下ろせる位置に調整しましょう。
  • 抱っこ・授乳の姿勢を時々変える:産前産後の方は、同じ腕・同じ姿勢での抱っこや授乳が続くと、左右差が生まれやすくなります。可能な範囲で、姿勢や抱く腕を変える意識を持ちましょう。
  • 痛みのある動きを完全に避けない:術後・怪我後の方は、痛みを避けること自体は大切ですが、医師や専門家の許可のもとで、安全な範囲の動きは続けることが回復への近道になります。
  • 深呼吸で肩の力を抜く:ストレスがかかると肩に力が入りやすくなります。一日数回、肩の力を抜きながらゆっくり深呼吸する時間を作りましょう。

こんな方は、特にチェックしてみてください

  • デスクワーク中、気づくと肩がすくんでいる
  • 腕を上げるとき、途中で引っかかる感覚や痛みがある
  • 術後・怪我後から、肩まわりが硬くなった気がする
  • 妊娠・出産をきっかけに、肩や姿勢が変わったと感じる
  • マッサージをしても、肩の重だるさがすぐに戻ってくる
  • 左右の肩の高さや動きに、明らかな違いを感じる
  • 服を着替えるとき、腕を後ろに回す動作がしにくい

一つでも当てはまる方は、肩甲骨と腕の連動というポイントから、肩の状態を見直してみる価値があります。

まとめ:肩こりと四十肩・五十肩 ── その違いと、共通する根っこの原因

肩こりと四十肩・五十肩は、症状としては違って見えても、肩甲骨と腕がうまく連動していないという共通の背景を持っていることがあります。デスクワークによる肩甲骨の動かなさ、術後・怪我後のかばい方の癖、産前産後の姿勢の変化 ── きっかけは違っても、行き着く先は似ていることが少なくありません。

大切なのは、痛みや違和感がある部位を無理に動かすことではなく、肩甲骨から丁寧に動きを取り戻していくことです。次の2つを意識してみてください。

  1. 肩甲骨単体の動きを取り戻す ── すくめる・下げる・寄せる・広げる、小さな動きから始める
  2. 日常の姿勢・習慣を見直す ── デスク環境、抱っこ・授乳の姿勢、痛みとの向き合い方など、生活の中の小さな積み重ねを整える

どちらも、一度で完璧に変わるものではありません。ご自身の身体の状態やきっかけに合わせて、無理のないペースで取り組んでいただければと思います。

心当たりのある方は、まずは体験レッスンで、いまのご自身の肩・肩甲骨の状態を確認してみませんか。理学療法士としての視点から、デスクワーク・術後リハビリ・産前産後、それぞれの背景に合わせて、無理のない一歩をご提案します。ご予約・ご相談は、このページ下部の「スタジオ一覧・ご予約」から、公式LINEでお気軽にどうぞ。

(※ 四十肩・五十肩など、強い痛みや急な可動域制限がある場合は、必ず医師にご相談ください。この記事は一般的な情報提供であり、個別の医学的アドバイスに代わるものではありません。)

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